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不良老人による傑作『パルプ』

ボゲェ〜〜と暮らしていたら8月が過ぎ、9月が過ぎ、10月になっていました。いつの間にか空気も肌寒く、毛布をそろそろ引っ張りださなくてはいけないのかと思ったり

。初めて鍋をつつく日、それが冬の幕開けを告げる日になると思いますが、そう遠くはないんじゃないかな。

 

と前置きはここまでにして久々に更新。

本日は読書感想文、チャールズ・ブコウスキーの『パルプ』。

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訳はみんな大好き柴田元幸先生。最初は学研から出て、次はちくまから出て、長らく絶版だったのが今年の6月に復刊したそう。

 

まず表紙がいいですよね。床に転がる酒、酒、酒、そしてグレープフルーツ。このグレープフルーツのエピソードは一番好きかも。

 

僕はSF以外のアメリカ文学にはあんまり馴染みがなくて、ケルアックの『オン・ザ・ロード』読んだ時も「なーんにも起きねえな、なんだコレ。こいつら生き方適当すぎやろ」って思いながら読んでました。でもみんな絶賛するんだよな。確かピンチョンが凄いケルアック信奉してたような気がする。確かにいいとは思うけど、そこまで言うほどかあ?

 

で、『パルプ』なんですが、一言で言ってしまえば「与太話」ですね。

よたばなし【与太話】

でたらめな話。ばか話。 (大辞林 第3版)

死んだはずの作家を探してくれという貴婦人。妻が宇宙人だと言い張る葬儀屋。謎すぎる人たちの意味のわからん依頼をバーに行ったり競馬に行ったりしながら解決する。あるいは解決しない。

 

物語も納得のいく形では終わってくれません。放り投げたままです。赤い雀の寓意なんかを読み解くのもいいかもしれませんが、それをするかどうかも自由。そんなの気にせずにただただ文章のリズムを味わうのも良い。

 

どこかで必ず自分の心に引っかかるセリフが出てくるはず。解説でも触れられていた「待つ」ことの話とか、何気ない会話の中にキレッキレの刃物みたいなセリフが潜んでいます。

 

この作品を書き終えたブコウスキーは当時73歳。すごすぎる。

柴田元幸氏の訳はまさに名訳と呼ぶにふさわしいものです。皆さんも是非言葉の魔法に酔いしれて下さい。