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キングスマン(2015)

2015年はスパイ映画が大豊作であったと言われます。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『007 スペクター』『コードネーム U.N.C.L.E.』そして本作、『キングスマン』。ちなみに私は受験勉強をすることになっていたので、これらのうち一本も劇場で見ておりません。結局大して勉強しなかったので観に行くんだったなあ、と少し後悔。他に何かすることがあるからと言って自分の好きなことを制限するのはあまり意味がない、というのは受験期に学んだ重要な知見の一つです。

閑話休題。マシュー・ヴォーン監督による『キングスマン』は最高のエンタメ作品であり、スパイ映画の今後を考える上でも重要な作品でしょう。

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高級テーラー“キングスマン”で仕立て職人として働く英国紳士のハリー。その正体は、どの国家にも縛られることなく秘密裏に正義を遂行する国際的なスパイ組織“キングスマン”のエース・エージェント。ある日、エージェントの一人が何者かに殺害され、その欠員を補充するためハリーは、貧困地区で無軌道な生活を送っていた若者エグジーをスカウトする。彼の父はキングスマンのエージェントで、17年前、その犠牲的行為でチームを救い、命を落としたハリーの恩人だったのだ。こうしてエグジーは、父の後を継ぐべくキングスマンの過酷な新人試験に身を投じていく。一方ハリーは、天才IT富豪のリッチモンド・ヴァレンタインが水面下で進めていた恐るべき陰謀の謎を追っていくが…。*1

 

この作品の最大の魅力は魅力的なキャラクターにあります。近年はリアル志向のスパイ映画(『裏切りのサーカス』『ブリッジ・オブ・スパイ』など)が多く、それらの作品にも当然愛すべきキャラクターはたくさん登場するのですが、アイコンとなりうるようなキャラクターはいませんでした。というか、それをするとリアルじゃなくなってしまうんですよね。*2ところが『キングスマン』は、「これは映画じゃない」なんてセリフが散々出るくせに大変に映画的です。

コリン・ファース演じるエージェント、ハリー・ハート。f:id:NeMobilis:20160810051039j:plain近年稀に見る愛くるしさを持った最強最高のオジサマ。その魅力で特に女性から絶大な人気を誇るのだとか……。やっぱり最高なのは、Manners maketh manとか言ってチンピラをボコボコにするところと、教会で鬼のように信者を殺しちゃうところですねー。50代半ばにして長丁場のアクションを演じ切ったのは見事。英国紳士を名乗ってもこの人なら満場一致で許されるでしょう。

この映画で一躍ブレイクしたタロン・エガートンのゲイリー・”エグジー”・アンウィン。

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ふざけた野郎です。なんだこの顔、なめてんのか。多分女性から見ると守ってあげたい的な可愛さ、愛嬌があるんでしょうが、男からしたら許せないですね。多分運動神経も相当良くてモテモテなんだろうなー。あー、腹立つ。世代が上なら許せるんですけど。

相当な才能を持って生まれたものの、苦しい家庭環境で不良になってしまったという役どころ。なんでハリーに認められたのか、というところの説得力が弱い気がしないでもないですが、エグジーの父を死なせてしまったハリーは彼を育てることでしか罪の意識を軽減できなかったんでしょうね。

他にも悪役のサミュエル・L・ジャクソンとか、両足が刃物になってるサミュエルの秘書ガゼルとか、個人的イチオシ教官マーリンとか、やっぱりゲス野郎なマイケル・ケインとか*3とにかくキャラが濃い。

この映画はTwitterでもかなりバズってたそうですが、その中毒性の高さはやはりエンタメとしてのクオリティの高さにあるでしょう。最初にランスロットが真っ二つにされた時点で、あ、そういう映画なんだな、と肩の力を抜くように促してくれます。そこから無駄のない展開で、飽きることがありません。ジェーン・ゴールドマンとマシュー・ヴォーンの共同脚本ですが、この二人は傑作『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』の脚本も手がけていたりと作風の幅を感じさせます。

さて『キングスマン』はすでに続編の制作がスタートしています。アメリカ公開は来年の夏で、コリン・ファースが帰ってくるとかなんとか。チャニング・テイタムの出演も決まっているんですが、この人ふざけてるようにしか見えません。

f:id:NeMobilis:20160810055340j:plain悪役はジュリアン・ムーアなんだそうです。『キングスマン』最序盤での中東のテロリスト的な人たちに絡んだネタが物語後半で出てくると予想していたのですが外れたので、続編で回収しないかなあと思っています。

とにかく見た後の爽快感はかなり高めの一本。キャラに萌えるか、ガジェットに萌えるか、ちりばめられた007オマージュに萌えるかはあなた次第。楽しくなって頭が爆発してしまうこと間違いなしのオススメ作品です。

*1:all cinemaより引用

*2:ダニエル・クレイグのボンドとかは特殊な例

*3:むしろダークナイトシリーズのアルフレッドの良い人っぷりが例外

Vフォー・ヴェンデッタ(2005)

時流に逆らってる感が否めないですが、「毎日文章をアウトプットするのはいいよ!」と高校の現文教師にオススメされたのもあって、ブログを開設してみました。当ブログでは映画や本の感想を中心に雑多なことを書いていこうと思っています。実はシン・ゴジラの感想が書きたくてブログを開設したのですが、一向にまとまる気配がなかったので、そちらはまた時間のあるときに書きたいと思います。Twitterスーパーコンピュータ群MuGi (@NeMobilis) | Twitter)やってます。

 

では本題。ジェームズ・マクティーグ監督作品(マジで誰だよ)『Vフォー・ヴェンデッタ

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脚本、製作のウォシャウスキー姉妹がビッグネームすぎて監督の印象があまりにも薄いのは仕方ないですね。実際映画もウォシャウスキー姉妹色がかなり強いです。ただし、マトリックスのようなアクション要素は薄めでメッセージ性が強め。いわゆるディストピアものに分類されると思います。

 

近未来のイギリス。そこは独裁者アダム・サトラー議長が支配するファシズム国家となっていた。テレビ局で働くイヴィーはある日、外出禁止時間に表を歩いていたところを運悪く秘密警察に見つかってしまう。そんな絶体絶命の危機を、彼女は“V”と名乗る謎の仮面男に救われる。しかし男は、1605年に国王の圧政に反発し国家転覆を図り失敗に終わったガイ・フォークスにならって、たった一人でサトラー政府に反旗を翻す狡猾非情なテロリストだった。次第にVのテロ活動に深く巻き込まれていくイヴィーは、やがてVとサトラー政府を巡る恐るべき因縁を知ると共に自分自身の内なる真実に目覚めてゆく…。*1

 

かなり中二病感満載です。しかもガイ・フォークスの話は日本人にはあまり馴染みがないので、割と人を選ぶかもしれません。ディストピアものというとどうしてもオーウェルの『1984年』と比較してしまいがちですが、本作は『1984年』と比較すると、ディストピア描写が物足りないと思ってしまいます。この映画では、多少の反乱分子がいるとかのレベルじゃなくて、かなりの人数が現体制に不満を持ってるっぽいんですよね。それじゃあVが特に何かしなくとも普通に瓦解するんじゃねーの...?

『1984年』の何がすごいかって、やっぱり”熱狂的信仰”の描き方だと思うんです。その白眉が「二分間憎悪」。やっぱりオーウェルすげえ。

でもさすがにウォシャウスキー姉妹が絡んでるだけあってシーン単位ではかなり燃えるところが多い。何千人という群衆がガイ・フォークスの仮面をかぶって軍隊に割って入って更新するところとか素直にかっこいいですよね。

この作品のキーになるのは「物語」でしょう。理念(ideas)もしょっちゅう出てきましたが、個人的には「物語」についての物語であったなあと思います。この映画、異様に作中でのキャラクターのエピソードが多い。プチ過去編というかそんな感じ。ガイ・フォークスの話自体物語化してる節がありますし、人体実験してた博士の日記とか、隣の独房の人の語りとか。Vの物語も彼の死とともに終わりを告げ、新たな時代の物語が始まる。

正直納得いかない描写も多いですが、それなりに楽しめる映画だと思います。あと、ナタリー・ポートマンが叫びだしたくなるくらい可愛い。坊主にしても超可愛いよ...。

片割れが女になったと思っていたら、いつの間にかもう片方も女になっていたウォシャウスキー姉妹ですが、なんだかんだ最近イマイチな作品が多いので今後起死回生の一発を撃ってくれることに期待したいと思います。

 

 

*1:all cinemaより引用